
「私たちはなぜ、落ち込むのか?」
私たちは何か辛いと思うことがあると辛い気持ちになります。
辛いと思うと「苦しい、嫌だ、不安だ、怖い、許せない、やりきれない・・・」
そんな感情が湧いてきて、辛い気持ちになりますね。
そして同時にこうも思います。
「もっと強くなりたい・・・」
つまり、たとえ辛いと思う出来事があっても、できることなら平常心でいたい。
なるべく否定的な感情にならずに、前向きな気持ちでいたい。
辛いと思うことがあっても、そこからすぐに立ち直りたい。
多くの人がこう願うかもしれません。
ここで考えたい大事なことがあります。
それは、なぜ人はそのような気持ちになって落ち込むのか?
そして、落ち込むということの意味は何か?ということです。
まず、なぜ人は落ち込むのか?実は、その答えは意外に簡単です。
その答えは「落ち込むような事を考えているから」です。
辛くなるのは、辛くなることを頭の中で考えているからです。
いえ「考えてしまうから」ですね。
考えたくないのに考えてしまうからです。
例えば、仕事や人間関係で失敗したとします。
すると、失敗したことを悔やんだり、失敗したことを受け容れられなかったり・・・
いろいろな葛藤が生まれます。
「どうしてもっとちゃんと出来なかったのだろう」
「なぜ自分はいつも物事が上手く出来ないのだろう」
「きっとまた、これからも失敗を繰り返すに違いない」
「そうなったらもう、自分の人生はお先真っ暗だ・・・」
このように辛くなることを(無意識に)ドンドン考えてしまうからです。
考えていること、思い出していることによって、
私たちはいろいろな感情が起こってきます。
ですから「逆もまた真なり」で、気分が良い時は、気分が良くなることを考えています。
嬉しいときは嬉しい事を、楽しいときは楽しい事を、
感動しているときは感動するようなことを考えています。
つまり、自分の感情を前向きにしたければ、ここにヒントがあります。
そう、前向きになたければ前向きなこと、前向きになれることを考えれば良いわけです。
前向きな感情になるようなことを思い出せば良いのです。
しかし、そんなに簡単に前向きなことを考えられれば苦労しない。
そう思われるかもしれません。
では、どうすれば前向きなことを考えられるようになるのか?
それは、自分の「捉え方」のクセを知り、その捉え方を変える作業をするのです。
「失敗はあってはならない」「傷ついたら自分はもうお終いだ」
こういう捉え方があると、失敗や傷つく体験をした時に、否定的なことを考えやすくなります。
でも逆に「失敗したら、そこから学べばいい」とか、
「傷ついてもそれを糧に成長すればいい」という捉え方があれば、どうでしょう?
その方が否定的、悲観的なことを考えることが少なく、
より前向きな、より建設的なことを考えるようになります(無意識に)。
もちろん、こうした捉え方になるには、試行錯誤や努力は必要です。
つまり、自分の経験したことに対して、どのような捉え方を持っているのか?
どのような捉え方を無意識にもっていて、そこから自然とどんな思考が働いているのか?
ここにしっかりと気づくことが、ある意味、自己理解だといえます。
自分を知るということは、自分の捉え方と思考グセを知るということ。
特に無意識に持っている捉え方、自覚できていない思考や感情を知るということです。
カウンセリングでは、こうした自己洞察の作業を自然な流れで体験します。
最後にとっても大切なことをお伝えします。
否定的な捉え方や思考・感情ですが、これも大切な自分の一部と思ってください。
悲しみ、苦しみ、寂しさ、悔しさ、絶望といった否定的なもの。
こうしたものがあるからこそ、私たちは物事を真剣に捉え直し、成長できます。
どうにもならない時、どうにもできない苦しみや悲しみに直面したとき。
そんな時こそ、私たちはそれまでにないくらいに物事を真剣に考えます。
そんな時こそ、自分自身を顧みて、生き方や人生そのものを見つめ直します。
その経験は未来の人生に種をまき、私たちの胸に生きた知恵を宿すもの。
だから否定的な感情こそ、私たちを導く羅針盤だと思って頂きたいと思います。