企業向け新型コロナウイルス感染症対策情報【企業内濃厚接触者調査の留意点】

企業の経営者・担当者のみなさま、新型コロナウイルスのまん延期において、これまでとは異なる状況が起きつつあります。特に企業内で濃厚接触者調査を行う場合、これまでとの違いに留意しながら対応を進める必要があります。

 

企業でできる対策:

〇感染拡大を最小限に抑える対策を徹底する

○濃厚接触者を特定する

○特定した濃厚接触者への対応を行う

 

感染拡大を最小限に抑える対策を徹底する

□症状がある従業員には休んでもらう

□休憩・昼食時も含めてマスクの着用を徹底する

□最低1m以上の身体的距離を確保する

 

職場で最初に感染が明らかになった人は、必ずしも最初に感染した人とは限りません。職場ですでに感染が広がっている可能性もありますので、まず実施すべきことは周囲の人の体調確認になります。この段階で症状がある従業員がいれば、すぐに休んでもらうようにしましょう。そして、医療施設に連絡をとり、医師の判断を仰いで行動するよう伝えましょう。また、職場での感染拡大を最小限に抑えるために、「マスク着用の徹底」、「身体的距離の確保」を強化することも大事です。特に、休憩や昼食時などを含め、マスクを外して会話することのないように徹底しましょう。

 

ちなみにこの二点は次項で述べる濃厚接触者特定の目安となるものです。

企業内で感染者が出ても、日頃からの感染防止対策により濃厚接触者がゼロであれば、事業への影響を最小化することができます。次項から述べる濃厚接触者対応については、「とてもそこまで手が回らない」「保健所と同じようなことはできない」という企業もあることでしょう。そのような企業も含めすべての企業で、ここで述べた『感染拡大を最小限に抑えるための対策』は最低限実施しておきたいことと言えます。

 

濃厚接触者を特定する<濃厚接触者を特定する目安>

感染者の発症2日前~感染が確定するまでの間に、

□感染者と同居あるいは1時間以上の接触(車内、航空機内等を含む)があった者

□マスクなしで 1 メートル以内、15分以上会話があった者(会食等を含む)

 

従業員の感染が確定した場合、まずは上記目安に該当する従業員や関係者(社外を含む)がいないかを、感染者本人に無理のない範囲でリストアップしてもらいましょう。また、濃厚接触が考えられる従業員や関係者を特定していくのに、誰が感染したかを知らせる必要が生じますので、関係者に名前を開示することにつき本人の了解を求めておきます。なお、接触の調査は感染拡大防止のためにお願いして行っているのであり、対象者には調査協力への感謝をもって接するようにしましょう。くれぐれも感染したことを責めることがないよう注意しましょう。また、従業員の行動を追うのは「業務の範疇」にとどめ、休みの日や就業時間外に社内外の関係者以外と何をしていたのかなど、業務の範疇外の行動の確認は行わないようにしましょう。その後、リストアップされた濃厚接触が疑われる従業員にヒアリングを行い、前述の目安に該当することが確認できた者を濃厚接触者と特定します。なお、担当者も従業員も不安を感じることから、つい対象者を広範囲に広げがちですが、対象者の家族も含めて影響も大きくなりますので、なるべく上記基準の範囲内で特定するようにします。

 

特定した濃厚接触者への対応を行う

□最後の接触から14日間の健康観察と自宅待機を求める

□無症状者に自費PCR検査の受検を求めない

□社外の濃厚接触者と連絡をとり、状況を伝える

 

濃厚接触者と特定した従業員については、感染者との最後の接触から14日間、健康観察と自宅で過ごすことを求めます。この間に症状があれば速やかに会社に報告するとともに、医療機関に電話連絡の上で受診するよう促します。なお、会社として自費PCR検査を実施するべきか非常に関心の高いところかと思いますが、検査を実施してたとえ陰性であってもそれで感染していないことを証明するものではありません。企業で費用負担する場合でも、症状がない従業員に検査の受検を無理に進めないようにしましょう。自宅待機期間はなるべく在宅勤務の扱いとすることが望まれます。在宅勤務ができずに休業の扱いとする場合は、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する可能性があり、休業手当を支払う必要が出てきます。感染者との接触はあったものの特定対象外となった従業員に対しては、健康観察と感染対策を強化する程度に留めましょう。自宅待機は求めないものの、少なくとも最後の接触から14日間は、濃厚接触の目安に該当するような行為(会食などマスクを外した状態で会話するなど)を控えるように促しましょう。社外に濃厚接触が疑われる関係者がいると分かった場合は、当該者に速やかに連絡をとり、状況を伝えるようにしましょう。当該者の扱いをどうするかは、当該者の所属する企業の判断に委ねることになります。